Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

「僕たちは人より一つ、余計なことで苦しまねばならぬとはいいことじゃないですよ。こんなことは始末につかないことだと分れば、その分ったことの範囲で何んとかしなくちゃ、僕はつまらぬと思うんだが。――何もあなたを嫌いで僕が虐めているわけじゃなし、――」

「あなたはあたしのそんな悲しみ、御存知ないんですもの。あなたのお母さんのことを思うと、きっと、あたし、叱られてばかりだと思えて、それが悲しいんですわ。あなたはお母さんの味方ばかりなさるの、定っているんだし――」

千鶴子は矢代を正面からじっと見詰めて眼を放さなかった。彼の母に対する嫉妬のようにも見える強い千鶴子の眼差に、矢代は何か俄に返答を迫られているような怯みを覚えて身が緊った。

「しかし、どういうものか、女の人というものは、良い宗教でも邪宗にするくせがあるんじゃないかな。僕の母を見ていても、子供の僕でさえ困ることがあるんですよ。僕の父は家代代の真宗なんですがね。母ひとりは法華なんです。それというのは、母の実家が法華なものだから、小さいときから南無妙法蓮華経で育ったでしょう。ですから、僕の父の所へ来てからでも、南無阿弥陀仏ではどうしても有難さを呼び醒すことが出来ないらしいので、そこでひとりいつも苦しんだらしいのですよ。