Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
実際それは、真面目になればなるほど苦しいにちがいないんだし、そうかといって、良い加減に捨てても置けないことでもあるしして、やはり今でもそこに、何か、父との間でごたごたしているものがありますね。」
「じゃ、あなたはどちらですの。」
と千鶴子はすかさず訊ねた。
「僕は古神道です。」と彼はここだけ小さな声で云ってから、
「しかし、これは宗教じゃないですよ。神道とも違います。」と云い直した。
「古神道って、何なのかしら、あたし初めて聞いたわ。」
千鶴子は羞しそうにこれも小声で云うと、微笑を浮べたまま、遠い夕空を見上げていたが、それでもまだ容易に訝しさの去らぬ表情だった。山頂に漂っている明るさはもう空からかき消え、峡間には刻刻暗さが増して来た。そこへ槙三がのそり娯楽室から戻って来ると、氷柱の下った廊下が急に遽ただしくなった。そして、女中たちの火を運ぶ音や、膳を置く音がつづいてして、矢代たちのいる部屋にもその忙しさが廻って来た。
食事がそれからすぐ始まった。千鶴子は女中代りに男たちの茶碗の世話をしながらも、まだ矢代に云われたことが頭に閊えているらしく、あまり話さなかった。