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Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

母は小箪笥から白い手巾を出して来て父の顔の上に拡げた。気のせいか、そのときから俄に母の腰が少し曲ったように見えた。そして、その老い込んだような姿でのろのろ部屋を出ていくのを見ると、矢代は、再び悲しさが込み上げて声を止めるのに困った。彼は自分の腕を横に噛み暫く声を殺してぶるぶる慄えつづけた。

朝になってから矢代は少し眠った。そして、正午ごろ眼を覚したとき、妹の幸子の声がもう勝手の方から聞えて来た。矢代は叔母夫婦や従兄たちのより集っている奥の間へ出ていって、葬の日取りを皆で定めた。母は一日でも永く父を傍に置きたい口振りになろうとするのを、矢代は親戚たちの迷惑なことも考え、日を繰り早めてみるのだった。母も別に異議を挟まず、素直に彼の意見に従ったので、葬式は二日後になった。その後、婦人らの手で経帷子が忙しく縫われ始めた。

夜になり棺が家へ届いてから皆で父の湯灌をした。素足に草履を穿き襷をかけた彼と、母と妹と、それに従弟も加わった皆の同じ様子は、雪の夜中どこかへ仇討に出かけて行くような勇ましい装束だった。それも緊張した表情を泛べているとはいえ、見馴れぬ異様さに、互に顔を見合せて一寸笑った。