Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
「ドームで、久慈と千鶴子さんが待ってる筈ですから、あなたもどうです。」
千鶴子が傍にいればアンリエットは遠慮をするかもしれぬと思い、矢代はそんなに云ったのであるが、むしろ彼女は悦ばしげに、
「あたしが行ってもいいんですか。」
と訊き返した。
「どうぞ。」
二人は二列に並んだ篠懸の樹の下を真直ぐに歩いた。地下鉄の口からむっとする瓦斯が酸の匂いを放って顔を撫でた。矢代はこの気流に打たれると、いつも吐き気をもよおして横を向き急いでその前を横切るのである。
「あの地下鉄の入口の所の飾りね。あれは大戦前のものなんだけど、みなあのころはあんな幽霊のようなものばかり流行したのよ。人の頭もそうだったんですって。」
そんなに云われるままに、矢代は見るとなるほど入口は蕨のような形の曲った柱が二本ぬっと立っているきりである。
「あんな幽霊のようなものが流行るようじゃ、戦争も起る筈だな。」
「そう。あのころは幽霊の流行よ。有名なことだわ。」とアンリエットは云った。
しかし、今はどうであろうかと矢代は思った。街には日本の玩具が氾濫していた。カフェーや料理屋の器物はほとんどどこでも日本製のものばかりだった。