Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ひめくり

日めくり

壺井 栄

Lesen Sie 日めくり (ひめくり) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.884 Zeichen · 34 Bildschirme

Aozora Bunko

往きの、夫婦ともどもなんとなく不安げだった顔が、帰りにはひろみのからだもすんなりとし、一家揃って仕合せに包まれているようだった。壮一も一しょだった。

「うまく、生んだでしょう」

と山形は自慢して、大事そうに抱えてきた千咲を元子の手に、惜しそうにして渡した。眠っている赤ん坊は薄着のせいもあってかびっくりするほど軽く、小さく、羽二重のような足の裏がひどく印象的であった。指先でさわってみると、もうぴくっとふるわせた。

「もらっちゃおかな」

元子にからかわれてまにうけた壮一は、しんけんにかぶりをふり、

「帰ろうよ、ね、帰ろう」

それなのにいよいよのとき、ほんの瞬間ではあったが、夫婦は、無意識の中でめいめい赤ん坊の抱き役をゆずりあったのか千咲を忘れて帰りかけた。元子は大声で、

「あれ、置いてくの」

一とき笑声がわいた。

そんな笑い話もあって、一年余がすぎた。壮一は幼稚園も二年めになり、千咲はもう走り廻っている。仕合せな一年であった。そんな娘の一家を、身近に眺めて暮したい望みで、山形の家は並川の家の近くに場所を選んだのに、その仕合せに思いがけない危機が訪れたのである。