Japanische Klassiker mit Furigana
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ひめくり
日めくり
壺井 栄
Lesen Sie 日めくり (ひめくり) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.884 Zeichen · 34 Bildschirme
今日は四十二度にも上った熱がやっと注射でさめたばかりだという病人は、それでもまだ喘ぎながら、
「熱の、原因が、わからないんです」
と、それさえわかれば毎日の苦しみからのがれられでもするかのように、口惜しそうに訴えた。聞きとりかねるほど力のない声で、かわいた唇が今にもさけて血がふき出しはせぬかと思うほどかさかさになっていた。そしてあとはもう目を閉じたまま、うつらうつらの状態である。食慾も全然ないのだと、附添っている娘はいい、声をひそめて、
「おこってばっかりいるのよ」
とかなしそうにいった。
「おこられている間が花よ」
「うん」
おこらなくなったらおしまいなのだし、それがもうせまっているのだから、覚悟をしなさい、とはいくら娘にでも云えない。それにしても、これが二十日前には小型テレビを喜びながら入院したあの気さくな病人だとはとうてい思えない。今はもうそのテレビを見る元気さえなく、がたがたふるえ出したり、高熱に意識を失ったり、うつらうつらと眠ったり、そのくり返しの合間を輸血とリンゲルで、ようやく保っているのだ。そして、それが好転する見込みは今のところ全然立たない。