Japanische Klassiker mit Furigana
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ひめくり
日めくり
壺井 栄
Lesen Sie 日めくり (ひめくり) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.884 Zeichen · 34 Bildschirme
すしやの名をすりこんだ暦の表には松竹梅のめでたい木の下で、白と黒と茶の兎が三匹、ながい耳を倒してうずくまっている。わりとハイカラな山形としてはおかしな暦をかけているものだ。母親の好みでもあろうかと思いながら、見るともなく日めくりをみた。八月十六日金曜日。九紫、友引。京都大文字。かのとう。旧六月二十七日。良い笑いは家庭を明るくする。――
そんな文字が小さな紙面に、立て書きや横書きで刷りこまれている。八月十六日。それは山形が入院した日である。それからあと、この家ではこよみの上では日が経っていないのだ。試みに一枚をめくると、十七日、八白。先負。十八日、七赤仏滅。十九日、六白先勝とつづく。
ああ、さまざまの運命をひっそりと重ねこんだまま、この家では夜が明けていない。あるじのいた日を、そのままに、引きもどそうとでもいいたげに、今日も明日も、こよみはめくり手がない。……
(昭和三十八年十一月)