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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぎじんのすがた

日本の怪談

田中 貢太郎

Lesen Sie 日本の怪談 (ぎじんのすがた) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.030 Zeichen · 115 Bildschirme

Aozora Bunko

「この薬籠をお前さんが持って往くが好い、お前さんは私の弟子のつもりでおるが好い」

と、薬籠をさしだすので、甚内はそれを受けとって肩にした。

「では往こう」

と云って、狸の医師はずんずんと歩いて往く。甚内もその後から跟いて往った。そして、暗い中を暫く往ったかと思うと、もう城下町の家並が灯の中に浮き出て来た。

「や、もう城下へ来たな」

甚内はその早いのに驚いていると、眼の前に大きな門が見えて、狸の医師はその中へ入って往った。甚内も続いて入って往くと、すぐ大きな玄関になった。玄関にはもう五六人の者が灯を持って出迎えていた。

「花岡先生のお出でじゃ」

「花岡先生じゃ」

出迎人は口々に云って狸の医師の手を執るようにして案内した。甚内は夢のような心地で跟いて往った。往ってみると大きな座敷があって、其処には数多(たくさん)料理をかまえてあった。

「何はともあれ、まあお一つ」

出迎人の一人は狸の医師に盃をさし、それから甚内にも盃をくれた。その酒の味はまたとない好い味であった。

そのうちに狸の医師は、診察にと云って席を起った。甚内はやはり肴を喫(く)い、酒を飲んでいたが、若し狸が失敗しては大変だと思ったので、ふと顔をあげて見た。