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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぎじんのすがた

日本の怪談

田中 貢太郎

Lesen Sie 日本の怪談 (ぎじんのすがた) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.030 Zeichen · 115 Bildschirme

Aozora Bunko

若侍は当惑した。侍女らしい女は若侍の傍へ来た。

「もしや此処を、お姫様がお通りになりはしまいか」

と、一人が云った。若侍はさては己(じぶん)の殺したのはお姫様であったか、しまったことをしたと思って、全身の血が一時に氷結したように思った。

「や、これは、お姫様、何者がこんな姿に……」

と、一人の侍女は倒れるように死骸に執り縋った。他の侍女も泣き叫んで死骸に執り縋った。

若侍は茫然として立っていた。侍女の一人は若侍の血刀を持った手をぐっと掴んだ。

「この悪人、そちは何の怨みあって、お姫様をこうした眼に逢わせたのじゃ」

若侍は血刀を手から落した。と、跫音がして山狩姿をした武士が、五六人の侍者を従えて来た。

「や、殿様のおでましじゃ」

若侍の隻手を掴んでいた侍女の一人が云った。山狩姿の武士は侍女の声を聞きつけると、その方へ寄って来た。それは国主であった。

「何事じゃ」と、国主は声をかけた。

「この者が、お姫様を手にかけましてござります」

「なに、姫を手にかけた」

と、云って死骸を見るなり、その眼を怒らした。若侍は腰を抜かしたように坐って、顔を土にすりつけた。

「にくい奴、何故あって姫を手にかけた」