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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぎじんのすがた

日本の怪談

田中 貢太郎

Lesen Sie 日本の怪談 (ぎじんのすがた) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.030 Zeichen · 115 Bildschirme

Aozora Bunko

用を達(た)して、座敷へ帰り、また横になって時刻を計っておると、もう二番鶏の声がする、よし、好い時刻が来たぞと、急に寝衣(ねまき)を己(じぶん)の褞袍(どてら)に着かえ、そっと広間の方へ往って、彼(あ)の皿鉢を執って背中に入れ、何くわん顔をして、座敷へ帰って煙草を喫んでおると、そこへ女が見廻って来る、ところで、女は、そんな客には毎晩馴れてるので、何とも思わない。

(さあ、もうおかえり)

と云う奴さ、で鸚鵡返しに、ああかえるよと云って、かえりかけると、女は洒々として送って来る、もうすこしじゃ、門口を一歩出さえすれば大丈夫じゃ、今、見つけられたら、えらい目に会わされる、こいつは大事に歩かんといかんと思って、ゆっさ、ゆっさと廊下を歩いて、やっと出口まで来た、不寝番(ねずのばん)の妓夫(ぎゆう)がいて、下駄を出し、門口の戸を細目に開けて呉れる、下駄を履いて、出ようとすると、女が後から来て、半分出かけた俺の背中を、それもその皿鉢の真上を、三つ続けて、とん、とん、とんと叩いて、

(またお出でよ)

と、云って笑ったが、皿鉢盗人(どろぼう)は承知と見えて、それっきり何も云わない、云わない筈さ、泥絵の絵具を塗ったように、金襴手の上薬がぼろぼろこぼれるという二分もしない皿鉢さ」