Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぎじんのすがた

日本の怪談

田中 貢太郎

Lesen Sie 日本の怪談 (ぎじんのすがた) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.030 Zeichen · 115 Bildschirme

Aozora Bunko

タカとか、オユキとか、オハナとか、人の名のようなものを紙の中程から横に並べて書いたもので、そうした物が三十ばかりも書いてあったが、初めから二枚目の終りあたりまでは、文字の上に三角の標をつけてあった。そして、その最後の三角の下の文字はオタキと云う文字であった。

「……おたき、おたき……」

新一はその文字を読みながら、なんだか知ったような名であると思っているうちに、その文字が己の母の名と同じであると云うことが判って来た。

「お母さんの名だ」

新一は怪しい獣のことを思いだした。それでは彼の獣が己の家に来る怪しい獣ではないかと思った。

「犬とは違っていた、たしかに彼奴が狐に違いない」

新一はそれと知ったなら石でも投げつけて、殺してやるのであったにと思って残念になって来た。新一は帳面を握ったなりにそのあたりを彼方此方と歩いて捜したが、もう影も形も見えなかった。

「よし、吉公の云ったように、鼠取を使ってやろう、姨さんなんかに黙ってて、一人でそっとやってやれ」

新一は帳面を懐に隠して何くわぬ顔をして家へ帰って来た。庖厨口を入ろうとしたところで茶の間の方で人の話声がしているので、何人かが来ているだろうかと思ってあがった。