Japanische Klassiker mit Furigana
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ぎじんのすがた
日本の怪談
田中 貢太郎
Lesen Sie 日本の怪談 (ぎじんのすがた) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.030 Zeichen · 115 Bildschirme
「女はどうした」
「あれも逃げようとしますから、いっしょに縄をかけました」
飯田は二人に縄をかけたを幸いに女の詮議もしてやろうとおもった。彼は刀を持って部下といっしょに玄関口ヘ出た。僧と女を縛りあげて玄関の柱に繋いであった。
「住持、変った姿を見て気の毒じゃが、どうしてその方はこうした姿になられた」
飯田は縛られたなりに悄然と立っている僧を見おろして云った。その傍に女も首を垂れて立っていた。
「昨夜、幕府の脱走兵が五六人来て、私を嚇して泊って往きましたが、その脚絆の一つが残っておりましたために、お疑いを受けました」
と、僧は顫えながら云った。飯田は女の右の二の腕の腫物の痕を見たかった。
「よし、そうか、それじゃ大した罪でない、それは好いとして、その女の右の二の腕を見せてくれ」
飯田は傍に立っている部下の一人に云った。僧はそれを聞くとぴくとしたようにして俯向いた。飯田はそれをちらと見た。部下は女の後手にせられた右の手に己(じぶん)の手をかけて、二の腕にかかった袖を捲った。黒い小さな爪形の傷痕があった。
「よし、判った、その僧を打ち据えろ、女のことに就いて何か白状させろ」