Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
かにのかい
日本の怪談(二)
田中 貢太郎
Lesen Sie 日本の怪談(二) (かにのかい) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 80.664 Zeichen · 171 Bildschirme
「来な、来な」
と、はじめの声がまた云った。伝蔵は、
「くそっ」
と、云って舌打ちしたが強いて往くのもいけないとおもったので、引返して日浦坂と虚空蔵山の間にある坂を越えた。
其処には越えた処に巫女ヶ奈路という窪地があった。伝蔵がその窪地まで往ったところで、むこうの方に在る大きな岩の上に不思議なものが現れた。
それは十二一重を着て緋の袴を穿いた美しい官女の姿であった。大胆な伝蔵は今晩は不思議なこともあるものだとおもって衝立ったなりにそれを見ていた。と、官女の姿は消えて甲冑をつけた武人の姿が現れた。武人の姿はやがて内裏のような金光燦然とした宮殿にかわった。と、宮殿は不動明王のような体の四方に炎の燃えている仏像にかわった。
伝蔵は嘲り笑いをして立っていた。と、仏像はみるみる消えて甲良が十二畳敷以上もありそうに思われる大きな蟹の姿が現れて来たが、その背には伝蔵の忘れることのできないお種が腰をかけていた。伝蔵は猪作の死ざまから連想して、お種をみいれて殺したのは彼の蟹であると思った。伝蔵は火のように怒って拳を固めて蟹に飛びかかって往こうとすると、体がしびれて判らなくなってしまった。