Japanische Klassiker mit Furigana
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かにのかい
日本の怪談(二)
田中 貢太郎
Lesen Sie 日本の怪談(二) (かにのかい) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 80.664 Zeichen · 171 Bildschirme
「…………」
「あなたは何人でございますか」
「わしは、伯父の林蔵じゃ」
伯父さんの声は顫えた。
「伯父さんでございますか、伯父さんなら頼みたいことがあります」
「なんじゃ、どんな頼みじゃ、云うが好い、お前の云うとおりにしてやる」
「伯父さん、私は、己の物が皆欲しゅうて、それで出て来ました、衣服も、道具も、私の使っていた物は、皆墓へ持って来て埋めてもらいとうございます、そうして貰わないと私は心が残って、浮ばれません」
伯父さんはなるほど仏の云うことが尤もだと思った。
「よし、明日、夜が明け次第、皆持って往って埋めてやる、安心するが好い、それから家のことも心配せんが好い、皆で世話して好いようにしてやる」
「それではお願いします、そうして貰えないと、私は浮ばれません」
「好いとも、夜が明け次第、持って往って埋めてやる」
「それではお願いします」
「好いとも、他にもう云いたいことはないか」
外からはもうなんの声も聞えなかった。伯父さんは仏が帰ったと思ったので、家の中へ逃げるように入って往った。
伯父さんは藤代をはじめ其処へいっしょに泊り合せている親類の者を起して、仏の云ったことを話し、翌朝芳三の衣服から煙草入れに至るまで一切持って往って墓の側に埋めた。