Japanische Klassiker mit Furigana
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かにのかい
日本の怪談(二)
田中 貢太郎
Lesen Sie 日本の怪談(二) (かにのかい) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 80.664 Zeichen · 171 Bildschirme
その伯父さんは店の整理があるので、やはり甥の家にいたが間もなく初七日が来た。酒屋では初七日の法事をしてその後で親類や隣の者に精進料理の饗応をしたので、朝から非常に忙しかったが、夕方になるとその客もやっと帰ったので、家内は十時比になって寝てしまった。
伯父さんもすこし飲んだ酒の疲れのために、一睡りして便所に起きたところで、また裏門の戸を叩く音が聞えて来た。伯父さんは立ちすくんだようになってその音を聞いていた。
戸の音はまた聞えて来た。伯父さんはまた芳三が何か云いたいことがあって来たのであろうと思った。伯父さんは恐ろしくって体がまたぞくぞくしだしたが、それでも逃げるわけに往かないので困ってしまった。と、その日来て泊り合せていた藤代の父親のことを思いだして、それを伴れていっしょに往こうと思って表座敷へ往った。
「お父さん、起きておりますか」
伯父さんが襖を開ける音に眼を覚していた父親は返事をした。
「ああ、伯父さんですか」
「ああ、私ですが、みょうなことがありますから、すこし起きてくれませんか」
「起きましょう、どんなことでございます」
「また来たようです」
「あの芳三でございますか」