Japanische Klassiker mit Furigana
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なかじきり
日本の文学 2 森鴎外(一)
Lesen Sie 日本の文学 2 森鴎外(一) (なかじきり) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.092 Zeichen · 45 Bildschirme
と一人いえば、桃色の顔したる末の姫、「さにてもなし」とまだいわけなくもいやしむいろえ包までいうに、皆おかしさに堪えねば、あかめし顔を汁盛れる皿の上にたれぬれど、黒き衣の姫は睫だに動かさざりき。しばしありておさなき姫、さきの罪あがなわんとやおもいけん、「されどかの君の軍服は上も下もくろければイイダや好みたまわん」というを聞きて、黒き衣の姫ふりむきてにらみぬ。この目は常におち方にのみ迷うようなれど、ひとたび人の面に向いては、言葉にも増して心をあらわせり。いまにらみしさまは笑みをおびてしかりきと覚ゆ。われはこの末の姫の言葉にて知りぬ、さきに大隊長がメエルハイムのいいなずけの妻ならんといいしイイダの君とは、この人のことなるを。かく心づきてみれば、メエルハイムが言葉も振舞いも、この君をうやまい愛ずと見えぬはなし。さてはこの中はビュロオ伯夫婦もこころに許したもうなるべし。イイダという姫は丈高く痩肉にて、五人の若き貴婦人のうち、この君のみ髪黒し。かのよくものいう目をよそにしては、ほかの姫たちに立ちこえて美しとおもうところもなく、眉の間にはいつも皺少しあり。面のいろの蒼う見ゆるは、黒き衣のためにや。