Japanische Klassiker mit Furigana
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なかじきり
日本の文学 2 森鴎外(一)
Lesen Sie 日本の文学 2 森鴎外(一) (なかじきり) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.092 Zeichen · 45 Bildschirme
ここより望むべきザックセン平野のけしきはいかに美しくとも、茂れる林もあるべく、深き淵もあるべしとおもわるるこの少女が心には、いかでか若かむ。
けわしく高き石級をのぼりきて、臉にさしたる紅の色まだあせぬに、まばゆきほどなるゆう日の光に照されて、苦しき胸をしずめんためにや、このいただきの真中なる切石に腰うちかけ、かのものいう目の瞳をきとわが面に注ぎしときは、常は見ばえせざりし姫なれど、さきに珍らしき空想の曲かなでしときにもまして美しきに、いかなればか、某の刻みし墓上の石像に似たりとおもわれぬ。
姫はことばせわしく、「われ君が心を知りての願いあり。かくいわばきのうはじめて相見て、ことばもまだかわさぬにいかでと怪しみたまわん。されどわれはたやすく惑うものにあらず。君演習すみてドレスデンにゆきたまわば、王宮にも招かれ国務大臣の館にも迎えられたもうべし」といいかけ、衣の間より封じたる文を取り出でてわれに渡し、「これを人知れず大臣の夫人に届けたまえ、人知れず」と頼みぬ。大臣の夫人はこの君の伯母御にあたりて、姉君さえかの家にゆきておわすというに、はじめてあえること国人の助けを借らでものことなるべく、またこの城の人に知らせじとならば、ひそかに郵便に附してもよからんに、かく気をかねて希有なる振舞いしたまうを見れば、この姫こころ