Japanische Klassiker mit Furigana
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うつりが
日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江
近松 秋江
Lesen Sie 日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江 (うつりが) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.306 Zeichen · 300 Bildschirme
松屋から帰途に食傷横丁に入って、あすこの鳥料理に上った。私は海鼠の肴で飲けぬ口ながら、ゆっくりした気持ちになって一ぱい飲みながら、お宮のために鳥を焼いてやって
「どうだ? うまいか」と訊くと
「あんまりうまくないわねえ。……私今日昼から歯が痛いの」
そういって渋面をして、口を歪めてすすり込むような音を立てていた。
その夜遅くなってから
「俺はもう帰ろう!」
考えていると、だんだんつまあらなくなったので、私はむくりと起き上ってこっちもあんまり口を利かないで戻って来た。自家に戻るといえばいいが、ようよう電車に間に合って寒い深更けに喜久井町に帰って来ると婆さんは、今晩もまた戻って来ないと思ってか、とっくに戸締りをして寝ていた。どんどん叩いて起すと、
「あなたですか、また遅くかえって!」
と、ぶつぶつ口の中でいいながら戸を明けてくれた。
私は押入れを明けて氷のような蒲団の中へ自棄糞にもぐりこんで軒下の野良犬のように丸く曲ってそのまま困睡した。
老婆さんは、前にもいったようにきっとお前や柳町の入れ知恵もあったのだろうが、私にここのうちを出ていってくれといって、後には毒づくように言って追い立てようとした。