Japanische Klassiker mit Furigana
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うつりが
日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江
近松 秋江
Lesen Sie 日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江 (うつりが) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.306 Zeichen · 300 Bildschirme
私は番頭の手前つくづく穴にもはいりたくなって、
「じゃ、そっちのにするさ」
「…………」
「これも、なかなかおよろしい柄でございます」
番頭がそういって、お宮が手放した方を取り上げて斜めに眺めていると、
「じゃあ、あっちにしようか?」こうだ。
「さあさあ※(感嘆符二つ、1-8-75) もういい加減にしてどれかに早くきめたらいいじゃないか」私は焦れったくなって、せき立てた。
「いえ、どうぞ御ゆっくりと御覧なすって下さいまし」番頭はお世辞をいった。
「これがおよろしいじゃございませんか」こんどは先のと違ったのを取って見た。
「じゃ、あれにするわ!」お宮は口から指を出していった。そしてついに番頭が二度めに取り上げたのにきめた。
きめたのはいいが、後で聞くと、家へ持って帰ってから多勢にいろいろにいわれて、翌日自分でまたわざわざ松屋まで取り換えにいって、他なのを取って来ると、また主婦や他の売女どもに何とかかとかいわれて、こんどは電話をかけて持って来てもらって、多勢で見比べたが、やっぱり元のにきめたのだそうな。
私はそんなことを聞いてから、お宮という奴はよっぽど浮気な、しょっちゅう心の動揺いている売女だと、ちょっと厭あになったが、それでもやっぱり止められなかった。