Japanische Klassiker mit Furigana
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うつりが
日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江
近松 秋江
Lesen Sie 日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江 (うつりが) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.306 Zeichen · 300 Bildschirme
「三野村という人とは相変らず仲が好いのかい?」と戯弄うようにいって気を引いてみた。
すると女は顔色も変えずに、
「あの人たまあにどす。それに奥さんのある人やおへんか」と、鼻の先でこともなげにいってのけたことがあった。
女と三野村のことをいったのは後にも前にもそれきりであったのみならず、自分でもそれっきりその人間のことを考えてもみなかった。その男のことなど物の数にも思わなかったのである。
そういうと女主人は、
「ええ、そりゃおした。そやけど三野村さんはあの女よりお園さんの方がどのくらい好きやったか知れまへん。……それで揉めたのどす」といって、前に遡って彼らの交情の濃やかであった筋道を思い出して話すのであった。
その男ももとは東京か横浜あたりの人間で絵の修行に京都に来る時一緒に東から連れて来た女があった。それは以前から茶屋女であったらしく、京都に来ても京極辺の路次裏に軒を並べている、ある江戸料理屋へ女中に住み込ませて、自分も始終そこへ入り浸っているのであった。話の様子では職人風の絵師によくあるような、あまり上品な人間でもなかった。技術も捗々しく上達しないで死んでしまったが女のことにかけては腕があったらしく、一方その女が喰いついていて離れようとしないのに自分ではひどくお園に惚れていた。