Japanische Klassiker mit Furigana
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うつりが
日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江
近松 秋江
Lesen Sie 日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江 (うつりが) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.306 Zeichen · 300 Bildschirme
女主人は今思い出しても、三野村がいとしくもありおかしくもあるというように笑いながら、
「あんなに惚れはって。……なあ、私、三野村さんがお園さんに惚れはったようにあんなにほれた人見たことおへんわ」そういってまた若奴と私に話しかけながら、「三野村さん、あんたお園さんのどこがようてそんなにほれたんどすいうて訊くと、三野村さんもお園さんの、ほんならどこが好えというところもないけれど、ただこうどことなくおとなしいようなところがええいうのどす」
「じゃ、男の好きなのは誰の思うところも同じこった」
と、私は、その三野村が女を観る眼にかけては自分と正しく一致していたことを思うにつけても、なるほどと肯けるのであった。女主人のいうとおり彼は深い心の底からお園に惚れていたのにちがいない。私もやっぱり女の起居振舞などのしっとりして物静かなところが不思議に気に入っているのであった。そして、三野村の惚れようが傍の見る眼も同情に堪えないくらいそれはそれは切ないものであったことを女主人がしきりに繰り返していうのを聴かされると、またしても私がその三野村にまた輪をかけたほど惚れているのに、それを遺憾なくわからす術のないのが焦躁しかった。