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Japanische Klassiker mit Furigana

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おろかなるものよ

日本プロレタリア文学集・38 プロレタリア詩集(一)

徳永 保之助

Lesen Sie 日本プロレタリア文学集・38 プロレタリア詩集(一) (おろかなるものよ) von 徳永 保之助 (とくながやすのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.714 Zeichen · 5 Bildschirme

Aozora Bunko

洪水のように

ふいご、

初めの日は面白くてたまらぬ、

ぶうぶうと、

少年の細腕にありたけの力をしぼって、

押したり引いたりした。

二日、三日、

長い時間のはたらきの疲れ、

私はめちゃくちゃにねむくてたまらず、

われ知らずいねむりをした。

束の間の少年の夢、

恋人の女の子と遊ぼうとすれば、

コツン!

拳骨のひどい痛さに、

びっくりして目がさめた。

子供心にくやしく、なさけなく、且つやるせなく、

しぶい目から熱い涙がこぼれた。

いま思っても憎らしい、

くろんぼのような顔にどんぐり眼をひからした奴!

私をなぐった奴!

その日のかえり、

晩方の月島の渡船の中で、

見もしらぬ若いきれいな女が、

暗いふなべりにしゃくり泣く少年の私をなだめすかして、

菓子さえくれた。

あの女、一体誰だろう?

私を知っていたのだろうか、

女は云った、

自分の小さい弟にでも向うように。

『お前どうしたの?

おなかが痛いの? そうじゃないと云うの、

それじゃ何をそう泣くの?

何がそんなにかなしいのさ?

妾に言ってごらん!』

女は私の涙をふいてくれた、

けれど私の涙は、

女のハンケチをとおして、

止めどもなく大川のひろびろしたくらい流れに落ちた。

流れの上を晩秋の冷たい靄が、河のねむりをさそうように罩めていた。