Japanische Klassiker mit Furigana
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じょきゅう
日本プロレタリア文学集・7 細井和喜蔵集
細井 和喜蔵
Lesen Sie 日本プロレタリア文学集・7 細井和喜蔵集 (じょきゅう) von 細井 和喜蔵 (ほそいわきぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.732 Zeichen · 33 Bildschirme
小さなものが一人前に怒ることを知っていて、ぐざりとふてた真似をした。けれども、彼女にとってはそれがまた一層かあいかった。
五
失業中に書いた「工場史」が出版される運びになってその方の金が少しばかり前借でき、見すぼらしい乍らも間借りして再び世帯が持てるようになったので、彼はカフェーへ妻を迎えに行った。そうしてモルモットと共に伴れ帰って山の手の郊外へ引き移った。
もう秋だった。坂の楓が色づいてお屋敷の庭から木犀の匂いが漂って来る。お宮では銀杏が黄ばみかけ、お寺には萩が咲いていた。下町の場末の、工場地帯にばかり住んで居った故郷を出てからというものまるで自然と勘当を受けたような生活していた彼は、久しぶりに煤煙の混らぬ清らかな空気を肚一ぱい吸うことが出来て蘇生の思いがした。永年の工場生活より来ている痼疾が、日毎に取り除かれて癒って行くようにさえ考えられた。六畳の二階がりで部屋は狭い。道具はない、着物もない――しかし二人はこれまでにかつて感じた経験の無いゆっとりとした気分の生活を味わった。
夫婦が散歩するときは勿論のこと彼女は何処へ行くにもモルモットの牝の方を抱いて行った。