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Japanische Klassiker mit Furigana

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にほんふどうき

日本婦道記

山本 周五郎

Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.829 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

伊緒にはそれが辛かった、たとえ良人が立身しても御恩田は放すまい、かの女はひそかにそう誓っていた、自分にひけめを感じている良人がうらめしくさえあった。だから、良人が武運にめぐまれて呉れたら、そんな無用なひけめは感じなくとも済むようになろう、それが伊緒のねがいだった。

郁之助はその後いちどなおって稽古へ出たが、それでまた風邪をひきかえし、こんどは発熱と頑固な咳にくるしめられて床についてしまった、伊緒の手はいそがしくなるばかりだった、夜を徹することも幾たびかあった、しかしこのあいだに季候はいつかゆるみはじめ、思いだしたように降る雪もしめりけが多くて、積るいとまもなく消えるようになった。野づらの残雪が知らぬまに溶け去ると、堤の日だまりや田の畔にちらちらと青みがさしはじめ、杭瀬川はとくとくと水嵩を増した、そしてある日、狂ったように東南の暖かい風が吹き荒れたあと、まるでその風がはこんで来たもののように春がおとずれた。

二月になってから苦戦を報ずるばかりだった島原からは、「包囲陣になった」と知らせてきたまましばらく沙汰を絶っていたが、三月二日、賊徒とのあいだに激戦のはじまったという使者が来、追いかけて六日には、「二月二十七日原城陥つ、賊徒誅に伏す」