Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にほんふどうき

日本婦道記

山本 周五郎

Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.829 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

きめてご相談にまいりましょう」

「なにごともおまかせ申しまする、どうぞよろしくおはからい下さいますよう」

すぎ女がそう会釈を返したとき、はじめて伊緒が、「お待ち下さいまし」としずかに云った、「わたくしそのお話はいやでございます」

「…………」

玄蕃も兄の正之進もふいをつかれておどろいたようにふりかえった、伊緒はふたりの顔をきっと見すえ、ちからのあるはっきりとした口調でつづけた。

「こなたさまはいま伝四郎にあらぬ噂があると仰せられました、いやと申上げるまえにそれをうかがいたいと存じます、あらぬ噂とはどのような噂でございますか」

「伊緒なにを申す、ひかえておらぬか」正之進がきひしく制止した、するとかの女は兄のほうへ向きなおり、「では兄上にうかがいます、あらぬ噂とは伝四郎が戦場から逃げたということを指しておいでなのでございましょう、それならわたくしも耳にしております」

そう云いかけて伊緒はさっと蒼くなった、膝の上にかさねた手がわなわなと震えた、かの女は抑えに抑えていた口惜しさがどっと胸へつきあげ、云いかえしたい言葉がいちどに喉へ溢れだすのをどうしようもなかった。