Japanische Klassiker mit Furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.829 Zeichen · 25 Bildschirme
梅雨にいり、炎暑がめぐってくると、野良しごとは十二刻を倍にしたいほど忙しくなる、郁之助はどうやら床を離れたが、自分のことをするのが精いっぱいでまだ力しごとはできなかった。八月の中ごろに藩主戸田氏銕が大垣へ帰った、城中ではあらためて凱旋の祝宴が催され、また天草陣の恩賞がとりおこなわれた。けれどもそれは和地家にはかかわりのないことだ。一家の柱を表象するかのような、日に焦けた手足を惜しげもなくさらして、伊緒は昼も夜もなくはたらきとおした。
年があけて梅の咲きはじめる頃、郁之助はこころみに剣道の稽古に出てみた、具合がよかったので休み休みつづけたが、桜の時分になって風邪をひきこんだのが、なかなかよくならず、あせるほどこじれるばかりで、ついにまた床についてしまい、さらにその年のはげしい暑さにあって医者も首をかしげるほど衰弱してしまった。その前後から伊緒に婿をとるはなしが出はじめた。平田玄蕃がはじめにその相談に来た、実家の親族の者もしばしば来ては姑と会った、――郁之助どのに万一のことがあると家が絶える、伊緒はまだ二十まえだし、これに婿をとって家督をきめておくのがよくはないか、さいわい二三のぞむ者もあるから。