Japanische Klassiker mit Furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.829 Zeichen · 25 Bildschirme
きっと一言で承知すまいと考えていた伝四郎は、あまりすなおに妻がはいと肯いたので、かえって疑わしくなった。
「本当にわかったのか、約束して呉れるか」
「……はい」
お約束いたしますと伊緒は口のうちで答えた、少しもくもりのない澄んだまなざしだった。伝四郎はいくらか安堵したようすで、「それで安心した、母上に申上げる前にこのことを約束しておきたかったのだ、玄蕃どのへは今日もどりがけに話してきたからな」
「いつ御出陣でございますか」
「殿さまには二十七日に江戸おもてを御出馬だそうだ、ここまで五日とみて、六七日には出陣かと思う」
「では籾摺りなどよりその御用意がさきでございます」
「いや用意というほどのことはない、太刀、槍ひとすじ、具足を出せばそれでよいのだ、それよりも」と伝四郎は膝を打って立ちあがった、「御上納の分だけでもかたづけて置こう、おれが出てしまうといろいろ手ぶそくになるからな」
そしてふたたび石臼をひきはじめた。
伊緒はそばにいて、つつましく手だすけをしながら、ときどきそっと良人の横顔へ眼をあげた。すると面ながの、眉の濃い、しんのきつそうな良人の顔が、どういうわけか今はじめて見るように思え、それがいかにもめおとの縁の浅いことを証拠だてるようで堪らなくかなしかった、石臼はごろごろと重い音をたてて廻っていた。