Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にほんふどうき

日本婦道記

山本 周五郎

Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.841 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

然しそういう親しかった過去は忘れてしまいでもしたように、いま眼のまえに見る平太夫はよそよそしく冷たかった。会ったらなにか事情がわかりはしないか、精しいことはべつとして緒口だけでも……そう考えて来たのだが、平太夫はなにも云わず、硬い表情でむっと黙ってしまった。由紀は「たしかに」というひと言で、とにかくなにかがいち段落ついたと思い、それだけをこころ遣りに沢本家を辞した。帰って来てぶじに済ませたことを告げると、良人は黙って頷き、眼をつむって深く太息をついた。重い荷を背負って疲れはてた人が、ようやくその荷をおろしたという感じである。そしてその夜はじめて熟睡したようすだった。「どんな大きな心配がおありだったのだろう」さもこころよさそうな軽い鼾のこえを聞きながら、由紀は夜半のふしどに坐って独りそっと呟いた。そして輿入の宵から今日までの息詰まるような時間が、どうかこれで終って呉れるようにと祈った。姑が善光寺から帰る筈になっている日の午後に、吉岡頼母がおとずれて来た。由紀はまえから決心していたので、座敷へとおさず玄関で応対した。

「おはなしは此処でわたくしが承ります、けれど母から先日あらましを聞いておりますので、さきに申上げますけれど、離縁のおはなしでしたら、うかがうまでもございません、どのようなわけがございましょうとも