Japanische Klassiker mit Furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.841 Zeichen · 25 Bildschirme
そのぶきみな深いしじまを縫って、「はやく医者を」という言葉がつぶてのように人びとの耳をうった。
なにか起こったのだ、なにか思いがけない不吉なことが起こったのだ。由紀はそう直感すると共にじんと頭の痺れてくるのを感じた。頼母があわただしく出ていった、父もすぐに呼ばれていった。あたりを憚るような人ごえと足音が、緊張した重苦しい空気を家じゅうにひろげてゆくようだった。由紀は息ぐるしさに圧倒されながら、顫えてくるからだに力をこめ、眼をつむって、運命を待つもののようにうなだれていた。程なく父と頼母が、戻って来た。
「なにごとでございますか」
と、母が待ち兼ねたように訊いた。
「休之助がけがをして戻った」
父が昂奮した調子ですばやくそう云った。
「大藪のところに倒れているのをみつけた者があっていま担ぎこまれて来たのだが、かなり重傷のようだ、ひとまず由紀をつれ戻さなければなるまい」
「それはいったいどうしたということでしょう」
「当人が口がきけないのだからなにもわからぬ、いずれにしても家へ帰るほうがさきだ、由紀を立たせてやれ」
「たいへんなことになりました……」
母は顫えながら手をさしだした。