Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にほんふどうき

日本婦道記

山本 周五郎

Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.412 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

……夜になって寝るとき燈を消してからじっと闇をみつめて「お母さま」と囁やきかけ、母のおもかげを呼び生かしながら、その日あったことを話し、また望ましいことをたのんだり約束したりする。それはなにより楽しく欠かしたことのない習慣になっていたが、そのじぶんはよく叔母が一日も早く嫁にゆくようにと祈ったものであった、そうすれば父が自分を江戸へひきとって呉れるだろうと思ったから、……然し冬になっても、その年が明けても、叔母は嫁にはゆかなかったし、仲人の訪ねて来ることもなくなった。弁之助はやがてそんなたのみの空なことを知り、自分の勉強に精をだしはじめた。

彼は八歳の春から藩の道場へもかよいだしたが、九歳になると学塾での成績がめきめきとあがりはじめ、いつからか秀才という評判さえたつようになった。叔母もそれを聞いたのであろう。或るときいつものきびしい調子で、

「そんな虚名に惑わされてはなりませんよ」と注意された、「あなたはもうすぐ江戸へいらっしゃるのですから、田舎で秀才などといわれる者も江戸へゆけば掃いて捨てるほどいるのですからね、つまらぬ虚名におもいあがるようだと後悔しますよ」