Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にちぼつのげんえい

日没の幻影

小川 未明

Lesen Sie 日没の幻影 (にちぼつのげんえい) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.424 Zeichen · 14 Bildschirme

Aozora Bunko

(第一の旅人の顔を見守って)あなたも随分疲れている。……あなたは、大海原に向って呼んで見たことがありますか。波が岩を打つ音と石を転して、引き退る潮の音とが不断に響いている海岸に立って、大声で叫んで見たことがありますか。

第一の見慣れぬ旅人 あります。而して胸の苦悶を晴そうとしたことがあります。

第二の見慣れぬ旅人 その声は大きく立ちましたか。

第一の見慣れぬ旅人 海というものは盲目ですね。無神経ですね。私は、その時そう思いました。小さな人間の努力が何になりましょう。私は腹立しくなりました。而して海を罵ってやりました。けれどまたそれが何の役に立ったとも思いません。ただ私の咽喉が痛んで、声が立たなくなったに過ぎません。

第二の見慣れぬ旅人 やはり、この大きな広い沙原に対してもその通りです。海は、動いて、轟いて、騒々しくて、人間の叫ぶ声が聞えませんが、この広い沙漠の裡にあっては、沈黙が人間の声を吸い取ってしまうのです。怖しい沈黙!

第三の見慣れぬ旅人 ああ、吾等は何処へ行くのだろう……。(溜息す。)

第二の見慣れぬ旅人 (第一の旅人を見て)あなたは私の声を聞き付けずにいられた。