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Japanische Klassiker mit Furigana

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はえ

日輪 春は馬車に乗って 他八篇

横光 利一

Lesen Sie 日輪 春は馬車に乗って 他八篇 (はえ) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.478 Zeichen · 14 Bildschirme

Aozora Bunko

笑われた子

吉をどのような人間に仕立てるかということについて、吉の家では晩餐後毎夜のように論議せられた。またその話が始った。吉は牛にやる雑炊を煮きながら、ひとり柴の切れ目からぶくぶく出る泡を面白そうに眺めていた。

「やはり吉を大阪へやる方が好い。十五年も辛抱したなら、暖簾が分けてもらえるし、そうすりゃあそこだから直ぐに金も儲かるし。」

そう父親がいうのに母親はこう言った。

「大阪は水が悪いというから駄目駄目。幾らお金を儲けても、早く死んだら何もならない。」

「百姓をさせば好い、百姓を。」

と兄は言った。

「吉は手工が甲だから信楽へお茶碗造りにやるといいのよ。あの職人さんほどいいお金儲けをする人はないっていうし。」

そう口を入れたのはませた姉である。

「そうだ、それも好いな。」

と父親は言った。

母親だけはいつまでも黙っていた。

吉は流しの暗い棚の上に光っている硝子の酒瓶が眼につくと、庭へ降りていった。そして瓶の口へ自分の口をつけて、仰向いて立っていると、間もなくひと流れの酒の滴が舌の上で拡がった。吉は口を鳴らしてもう一度同じことをやってみた。今度は駄目だった。で、瓶の口へ鼻をつけた。