Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
Lesen Sie 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.813 Zeichen · 302 Bildschirme
車の上でお菊の蒼ざめた顔を眺めて行った時に、この児は最早駄目だ、と私は思った。
病名は消化不良ということであった。この急激な身体の変化は多分夏蜜柑の中毒であろうと言われた。私達の後を追って、大久保に住む一人の友達も、家のものも急いで来た。一刻々々にお菊は変って行った。それから二時間しかこの児は生きていなかった。
大久保の家では留守居してくれた人達が様子を案じ顔に待っていた。私はお菊の死体を抱きながら車から下りた。最早呼んでも返事をしない子供に取縋(とりすが)って、家内や姪は泣いた。お房も、お繁の亡くなった時とは違って、姉さんらしい顔を泣腫らしていたが、その姿が私にはあわれに思われた。
お菊は矢張(やはり)長光寺に葬った。親戚や知人(しるべ)を集めて、この娘の為には粗末ながら儀式めいたことをした。狭い墓地には二人の子供がこんな風に並んだ。
菊 子 の 墓
繁 子 の 墓
愛していた娘のことで、家内はよくお房を連れてはこの墓へ通った。
私の家に復たこのような不幸が起ったということは、いよいよ祈祷の必要を富士講の連中に思わせた。