Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
Lesen Sie 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.813 Zeichen · 302 Bildschirme
矢場の後にある桑畠の方からはサクを切る百姓の鍬の音も聞えて来た。そこは灌木の薮の多い谷を隔てて、大尉の住居にも近い。
学士は一番弱い弓をひいたが、熱心でよく当るように成った。的も自分で張ったのを持って来て、掛け替えに行った。
「こりゃ驚いた。尺二ですぜ。しっかり御頼申しますぜ」と大尉は新規な的の方を見て矢を番った。
「ポツン」と体操の教師は混返すように。
「そうはいかない」
大尉は弓返りの音をさせて、神経的に笑って、復た沈鬱な無言に返った。
桑畠に働いていた百姓もそろそろ帰りかける頃まで、高瀬は皆なと一緒に時を送った。学士はそこに好い隠れ家を見つけたという風で、愛蔵する鷹の羽の矢が白い的の方へ走る間、一切のことを忘れているようであった。
大尉等を園内に残して置いて、学士と高瀬の二人は復た元来た道を城門の方へとった。
途中で学士は思出したように、
「……私共の勇のやつが、あれで子供仲間じゃナカナカ相撲が取れるんですとサ。此頃もネ、弓の弦を褒美に貰って来ましたがネ、相撲の方の名が可笑しいんですよ。何だって聞きましたら――岡の鹿」
トボケて学士は舌を出して見せた。