Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
Lesen Sie 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.813 Zeichen · 302 Bildschirme
包み隠しの無い話は高瀬を笑わせた。学士は更に、
「ホラ、勇の下に女の児が居ましょう。上田で生れた児です……真実に親の言うことなどは聞かない……苦しい時代に出来た児はああいうものかと思いますネ……ウッチャリ放しに育った児ですからネ……子などに関ってはおられなかったんです……しかし、考えて見ると、私の家内もよくやって来ましたよ。貧苦に堪える力は家内の方が反って私より強い……」
しばらく石のような沈黙が続いた。そのうちに微かに酔が学士の顔に上った。学者らしい長い眉だけホンノリと紅い顔の中に際立って斑白に見えるように成った。学士は楽しそうに両手や身体を動かして、胡坐にやったり、坐り直したりしながら、高瀬の方を見た。そして話の調子を変えて、
「そう言えば、仏蘭西の言葉というものは妙なところに洒落を含んでますネ」
と言って、二三の連がった言葉を巧みに発音して聞かせた。
「私も一つ、先生のお弟子入をしましょうかネ」と高瀬が言った。
「え、すこし御遣りなさらないか」
「今私が読んでる小説の中などには、時々仏蘭西語が出て来て困ります」
「ほんとに、御一緒に一つ遣ろうじゃありませんか」