Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
Lesen Sie 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.813 Zeichen · 302 Bildschirme
思い疲れているところへ、丁度小使が名刺を持ってやって来た。原としてある。原は金沢の学校の方に奉職していて、久し振で訪ねて来た。旧友――という人は数々ある中にも、この原、乙骨、永田、それから高瀬なぞは、相川が若い時から互いに往来した親しい間柄だ。永田は遠からず帰朝すると言うし、高瀬は山の中から出て来たし、いよいよ原も家を挙げて出京するとなれば、連中は過ぐる十年間の辛酸を土産話にして、再び東京に落合うこととなる。不取敢、相川は椅子を離れた。高く薄暗い灰色の壁に添うて、用事ありげな人々と摩違いながら、長い階段を下りて行った。
原は応接室に待っていた。
「君の出て来ることは、乙骨からも聞いたし、高瀬からも聞いた」と相川は馴々しく、「時に原君、今度は細君も御一緒かね」
「いいえ」と原はすこし改まったような調子で、「僕一人で出て来たんです。種々都合があって、家の者は彼地に置いて来ました。それにまだ荷物も置いてあるしね――」
「それじゃ、君、もう一度金沢へ帰らんけりゃなるまい」
「ええ、帰って、家を片付けて、それから復た出て来ます」
「そいつは大変だね。何しろ、家を移すということは容易じゃ無いよ――加之に遠方と来てるからなあ」