Japanische Klassiker mit Furigana
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わせだだいがく
早稲田大学
尾崎 士郎
Lesen Sie 早稲田大学 (わせだだいがく) von 尾崎 士郎 (おざきしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.204 Zeichen · 220 Bildschirme
――それが、今、彼の眼の前にいる来島は去年の来島ともちがっている。去年の来島は感情の動きに唆しかけられながら井上に対する私憤を脱しきれないでいるところがあった。しかし、今夜の来島の顔にはかすかな感情の曇りもない。何時もならば、言葉が乱れ、論理もしどろもどろになる彼が熱するにつれてますます冷静になってくるのも不思議であるが、しかし、それよりも一層不思議なことは、大抵の場合自分の方が圧倒的にぐいぐい対手をおさえつける習慣を持っている杉山が、ともすれば逆にねじ伏せられそうになるもどかしさをどうすることもできないことであった。
「じゃが」。
と、杉山はそわそわした調子で言葉を濁した。「大隈と井上とは違うぞ」。
「何が違う――?」。
「大隈は井上ほど老獪じゃなかぞ」。
「そのことか、――そりゃちがうじゃろう、大隈が井上よりも良心があるということならそれもわかる、しかし、そんなことはどっちでもいいことじゃ、大隈と井上の人物の優劣論をやるときじゃなか、あんた、少しどげんかしとるぞ、わしは大隈を憎んじゃおらん、条約改正を中止させる、そのほかに余計なことを考える必要が何処にある」