Japanische Klassiker mit Furigana
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めいじげきだん ランプのもとにて
明治劇談 ランプの下にて
岡本 綺堂
Lesen Sie 明治劇談 ランプの下にて (めいじげきだん ランプのもとにて) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 167.283 Zeichen · 329 Bildschirme
そのうちにわたしを救いの声がきこえた。どこかで拍子木の音が響いたのである。守田はわたしの方を見かえって、「坊ちゃんは……。」と言うと、そばにいる男が起ち上がって、「わたくしが御案内申しましょう。」という。父もわたしにむかって、「おまえは先へおいで。」という。わたしは先ずほっとして、まったく人質からゆるされたような心持で、守田と団十郎とに挨拶すると、守田は無言で丁寧に会釈した。団十郎は軽く頭をさげて、「また遊びにおいでなさい。」と言った。しかしわたしはもう二度とこんなところへ来るものでないと思いながら、食い残りのカステラを袂に入れてもらって、かの男に送られて元の桟敷へ帰った。
楽屋へ往くから復るまでの間、実に何十分を費したか知らないが、とにかくにその頃の幕間はよほど長かったものに相違なかった。夜になって、わたしはもう眠くなったので、二番目の「金世中」が二幕済んだときに、近所の人に送られて、みんなよりも先に人力車に乗って帰った。わたしを送って来た人は、元園町までわたしを送りとどけて、それからまた引返して新富座へ行ったが、それでも次の幕のあく前に行き着いたということであった。