Japanische Klassiker mit Furigana
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めいじげきだん ランプのもとにて
明治劇談 ランプの下にて
岡本 綺堂
Lesen Sie 明治劇談 ランプの下にて (めいじげきだん ランプのもとにて) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 167.283 Zeichen · 329 Bildschirme
をあたえた。かの碁盤忠信のごときは彼が専売であるにもかかわらず、吉野山雪中の立廻りなどは、猿之助の横川覚範にかえって薙ぎ立てられる形で、大鎧をきて重い兜をかぶって奮闘する彼の太刀先や足どりがとかくにみだれがちであるのを、私ははらはらしながら見物していた。おそらく他の観客も同感であったろう。
大劇場は歌舞伎座をはじめ、皆そのような不況に陥り、歌舞伎座のごときは創立十五周年という名のもとに、十一月、特に値安興行をこころみるような始末であったが、そのあいだに立って人気隆々たるものは独り本郷座の新派劇だけであった。ここは川上音二郎と貞奴の夫妻を主脳として、藤沢浅二郎、佐藤歳三、児島文衛、中村信近などの一座で、十一月には「ハムレット」の翻案物を上演していたが、日々満員の好景気で、他の歌舞伎劇は殆んど彼らに圧倒された観があった。
こうして、明治三十六年は暮れた。歌舞伎劇は影薄く、新派劇ひとり驕って、わが劇界の覇権は前から後へ移り変わるかと見られた時に、あくる三十七年の二月には、かの日露戦争の幕が開かれた。その当時わたしは思った。これは歌舞伎劇一派に取っていよいよ大洪水の日が来たのである。