Japanische Klassiker mit Furigana
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めいじげきだん ランプのもとにて
明治劇談 ランプの下にて
岡本 綺堂
Lesen Sie 明治劇談 ランプの下にて (めいじげきだん ランプのもとにて) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 167.283 Zeichen · 329 Bildschirme
在来の芝居に強い執着を持っている江戸以来の観客は、これを一種の邪道のように認めて、ある者は痛罵した。ある者は冷笑した。
この芝居はわたしも母や姉と一緒に見物したが、一番目は「満二十年息子鑑」という徴兵適齢を取扱った散髪物で、頗る面白くない物であったように記憶している。さて中幕の「仲光」二幕も実のところ、わたしには一向に面白くなかった。周囲の観客もみな退屈そうな顔をしていた。しかも今日の或る芝居に見るような、いわゆる“観客が沸く”というようなことは少しもなかった。土間桟敷は勿論、大向うの立見の観客に至るまで、みな神妙におとなしく見物していた。それはこの劇の主人公が団十郎であったためでもあろう、また一面にはただ何がなしに烟に巻かれてしまったためでもあろう。その理由は種々であるに相違ないが、わたしの見るところでは、その当時の観客は多く礼儀をわきまえていたというのが第一の原因であったらしく思われる。
勿論、江戸以来の習慣で、成田屋とか高島屋とか声をかける人は沢山あった。しかしその以外に一種の悪褒めをするような観客は極めて少なかった。たまたまそういう人があれば、それがいつまでも話し草になって、世に残るくらいのものであった。