Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.663 Zeichen · 97 Bildschirme
Kの家はわたしの家から直径にして四町ほどしか距れていなかったが、場所は番町で、その頃には江戸時代の形見という武家屋敷の古い建物がまだ取払われずに残っていて、晴れた日にも何だか陰ったような薄暗い町の影を作っていた。雨のゆうぐれは殊にわびしかった。Kのおじさんも或る大名屋敷の門内に住んでいたが、おそらくその昔は家老とか用人とかいう身分の人の住居であったろう。ともかくも一軒建てになっていて、小さい庭には粗い竹垣が結いまわしてあった。
Kのおじさんは役所から帰って、もう夕飯をしまって、湯から帰っていた。おじさんは私を相手にして、ランプの前で一時間ほども他愛もない話などをしていた。時々に雨戸をなでる庭の八つ手の大きい葉に、雨音がぴしゃぴしゃときこえるのも、外の暗さを想わせるような夜であった。柱にかけてある時計が七時を打つと、おじさんはふと話をやめて外の雨に耳を傾けた。
「だいぶ降って来たな」
「おばさんは帰りに困るでしょう」
「なに、人力車を迎いにやったからいい」
こう云っておじさんは又黙って茶を喫んでいたが、やがて少しまじめになった。
「おい、いつかお前が訊いたおふみの話を今夜聞かしてやろうか。