Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.663 Zeichen · 97 Bildschirme
無心の幼児がお文の名を呼びつづけるのを利用して、かれは俄かに怪談の作者となった。その偽りの怪談を口実にして、夫の家を去ろうとしたのであった。
「馬鹿な奴め」と、小幡は自分の前に泣き伏している妻を呆れるように叱った。しかし、こんな浅はかな女の巧みの底にも、人の母として我が子を思う愛の泉のひそんで流れていることを、Kのおじさんも認めないわけには行かなかった。おじさんの取りなしで、お道はようように夫のゆるしを受けた。
「こんなことは義兄の松村にも聞かしたくない。しかし義兄の手前、屋敷中の者どもの手前、なんとかおさまりを付けなければなるまいが、どうしたものでござろう」
小幡から相談をうけてKのおじさんも考えた。結局、おじさんの菩提寺の僧を頼んで、表向きは得体の知れないお文の魂のための追善供養を営むということにした。お春は医師の療治をうけて夜啼きをやめた。追善供養の功力によって、お文の幽霊もその後は形を現わさなくなったと、まことしやかに伝えられた。
その秘密を知らない松村彦太郎は、世の中には理窟で説明のできない不思議なこともあるものだと首をかしげて、日頃自分と親しい二、三の人達にひそかに話した。