Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.663 Zeichen · 97 Bildschirme
お菊は若い番頭の清次郎と疾うから情交があって、ときどき外で忍び逢っている。おとといの観音詣りも無論そのためで、待ち合わせていた清次郎と一緒にお菊は奥山の或る茶屋へはいった。取り持ち役のお竹はその場をはずして、観音の境内を半時ばかりも遊びあるいていた。それから再び茶屋へ帰ってくると、二人はもう見えなかった。茶屋の女の話によると、男は一と足先に帰って、娘はやがて後から出た。茶代は娘が払って行った。
「それからわたしもそこらを探して歩いたんですけれども、お菊さんはどうしても見えないんです。もしや先へ帰ったのかと思って、わたしも急いで家へ帰ってくると、家へもやっぱり帰っていないんでしょう。内所で清さんに訊いて見たんですけれども、あの人も一と足先へ帰ったあとで、なんにも知らないと云うんです。でも、おかみさんにほんとうのことは云えませんから、途中ではぐれたことにしてあるんですが、清さんもわたしも、おとといから内々どんなに心配しているか知れないんです。ゆうべ帰って来て、やれ嬉しやと思うとすぐにまた消えてしまって……。一体どうしたんだか、まるで見当が付きません」
おろおろ声でお竹がささやくのを、半七は黙って聴いていた。