Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.663 Zeichen · 97 Bildschirme
「金次は相変らず遊んでいるだろう」
「なんでも元は大きい呉服屋に奉公していたんだそうですが、小柳さんのところへ反物を持って行ったのが縁になって……。小柳さんよりずっと年の若い、おとなしそうな人ですよ」
「ありがてえ。それだけ判りゃあ好いんだ」
半七はそこを出て、すぐそばの見世物小屋にはいった。この小屋は軽業師の一座で、舞台では春風小柳という女が綱渡りや宙乗りのきわどい曲芸を演じていた。小柳は白い仮面をかぶったような厚化粧をして、せいぜい若々しく見せているが、ほんとうの年齢はもう三十に近いかも知れない。墨で描いたらしい濃い眉と、紅を眼縁にぼかしたらしい美しい眼とを絶えず働かせながら、演技中にも多数の見物にむかって頻りに卑しい媚を売っている。それがたまらなく面白いもののように、見物は口をあいてみとれていた。半七はしばらく舞台を見つめていたが、やがて又ここを出て向う両国へ渡った。
駒止橋の獣肉店に近い路地のなかに、金次の家のあることを探しあてて、半七は格子の外から二、三度声をかけたが、中では返事をする者もなかった。よんどころなしに隣りの家へ行って訊くと、金次は家を明けっ放しにして近所の銭湯へ行ったらしいとのことであった。