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Japanische Klassiker mit Furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(二)

岡本 綺堂

Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.865 Zeichen · 432 Bildschirme

Aozora Bunko

「稲川の屋敷の奴が怪しい」

半七は先ずこう睨んだ。忠三郎を酔わして帰して、あとから尾けて来てその一軸を取り返してゆく。悪い旗本にはそんな手段をめぐらす奴がいないともいえない。そこで手を廻してだんだん探ってみると、稲川の主人は行状のいい人で、今度大切の一軸を手放すというのも、自分の知行所がこの秋ひどい不作であったので、その村方の者どもを救ってやるためであるということが判った。それほどの人物が追剥ぎ同様の不埒を働く筈がない。半七は更にほかの方面に手をつけなければならなくなった。

「おい、仙吉。おめえに少し用がある」と、彼は子分の一人を呼んだ。「今夜からふた晩三晩、あの化け銀杏の下へ行って張り込んでいてくれ。それも黙っていちゃあいけねえ。なにか鼻唄でも歌って、木の下をぶらりぶらり行ったり来たりしているんだ。寒かろうが、まあ我慢してやってくれ。おれも一緒にいく」

日が暮れるのを待って半七と仙吉は松円寺の塀の外へ行った。半七は遠く離れて、仙吉ひとりが鼻唄を歌いながら木の下をうろ付いていたが、四ツ(午後十時)を過ぎる頃まで何も変ったことはなかった。

「百両の仕事をして、ふところがあったけえので、当分出て来ねえかな」