Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.865 Zeichen · 432 Bildschirme
うす暗がりでよくは判らないが、路傍の店の灯でちらりと見たところは、色の蒼白い、瘠せ形の娘で、髪は島田に結って、白地に撫子を染め出した中形の浴衣を着ていた。
唯それだけなら別に仔細もないのであるが、彼女はとかくに文字春のそばを離れないで、あたかも道連れであるかのようにこすり付いて歩いてくる。それがうるさくもあったが、おそらく若い娘の心寂しいので、ただ何がなしに人のあとを追って来るのであろうと思って、初めは格別に気にも止めなかったが、あまりしつこく付きまとって来るので、文字春もしまいには忌な心持になった。なんだか薄気味悪くもなって来た。
しかし相手は孱細い娘である。まさかに物取りや巾着切りでもあるまい。文字春は今年二十六で、女としては大柄の方であった。万一相手の娘がよくない者で、だしぬけに何かの悪さを仕掛けたとしても、やみやみ彼女に負かされる程のこともあるまいと多寡をくくっていたので、文字春はさのみ怖いとも恐ろしいとも思っていなかったのであるが、何分にも自分のあとを付け廻してくるのが気になってならなかった。彼女はだんだんに気味が悪くなって来て、物取りや巾着切りなどということを通り越して、なにか一種の魔物ではないかとも疑いはじめた。