Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.865 Zeichen · 432 Bildschirme
そのお安ちゃんが又お迎いにやって来たんだ。津の国屋のお雪ちゃんは今年十七になったからね」
台所でかたりという音がきこえたので、文字春はまたぎょっとした。菓子を買いに行った小女が今ようやく帰って来たのであった。
三
文字春はその晩おちおち眠られなかった。撫子の浴衣を着た若い女が蚊帳の外から覗いているような夢におそわれて、少しうとうとするかと思うとすぐに眼がさめた。あいにくに蒸し暑い夜で、彼女の枕紙はびっしょり濡れてしまった。あくる朝も頭が重くて胸がつかえて、あさ飯の膳にむかう気にもなれなかった。きのう遠路を歩いたので暑さにあたったのかも知れないと、小女の手前は誤魔かしていたが、彼女の頭のなかは云い知れない恐怖に埋められていた。仏壇には線香を供えて、彼女はよそながらお安という娘の回向をしていた。
近所の娘たちはいつもの通りに稽古に来た。津の国屋のお雪も来た。お雪の無事な顔をみて、文字春はまずほっと安心したが、そのうしろには眼にみえないお安の影が付きまとっているのではないかと思うと、彼女はお雪と向い合うのがなんだか薄気味悪かった。稽古が済むと、お雪はこんなことを云い出した。