Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.865 Zeichen · 432 Bildschirme
その晩も彼女はやはりおちおち眠られなかった。
あくる日も朝から暑かった。お雪は相変らず稽古に来たので、文字春はまず安心した。こうして二日も三日も無事につづいたので、彼女が恐怖の念も少し薄らいできて、夜もはじめて眠られるようになった。しかし撫子の浴衣を着たお安の亡霊がたしかに自分と道連れになって来たことを考えると、まだ滅多に油断はできないと危ぶんでいると、それから五日目になって、お雪は稽古に来た時にこんなことを又話した。
「阿母さんがきのうの夕方、飛んでもない怪我をしましたの」
「どうしたんです」と、文字春は又ひやりとした。
「きのうの夕方もう六ツ過ぎでしたろう。阿母さんが二階へなにか取りに行くと、階子のうえから二段目のところで足を踏みはずして、まっさかさまに転げ落ちて……。それでもいい塩梅に頭を撲たなかったんですけれど、左の足を少し挫いたようで、すぐにお医者にかかってゆうべから寝ているんです」
「足を挫いたのですか」
「お医者はひどく挫いたんじゃないと云いますけれど、なんだか骨がずきずき痛むと云って、けさもやっぱり横になっているんです。いつもは女中をやるんですけれど、ゆうべに限って自分が二階へあがって行って、どうしたはずみか、そんな粗相をしてしまったんです」