Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.865 Zeichen · 432 Bildschirme
盆休みが過ぎてから、お雪は師匠のところへ来て又こんなことを云った。
「お師匠さん。家のお父っさんは隠居して坊主となると云い出したのを、阿母さんや番頭が止めたんで、まあ思い止まることになったんですよ」
「坊主に……」と、文字春もおどろいた。「旦那が坊主になるなんて、一体どうなすったんでしょうねえ」
十二日の朝、菩提寺の住職が津の国屋へ来た。棚経を読んでしまってから、彼は近ごろ御親類中に御不幸でもござったかと訊いた。この矢先に突然そんなことを訊かれて、津の国屋の夫婦もぞっとした。併しなんにも心当りはないと答えると、住職は首をかしげて黙っていた。その素振りがなんとなく仔細ありそうにも見えたので、夫婦はだんだん問いつめると、この頃三夜ほど続いて、津の国屋の墓のまえに若い女の姿が煙のように立っているのを、住職はたしかに見とどけたというのであった。着物の色模様ははっきりとは判らなかったが、白地に撫子を染め出してあったように見えたと、住職はさらに説明した。
それでもやはり心あたりはないと云い切って、夫婦は相当の御経料を贈って、住職を帰してやったが、その夕方からお藤の足はまた強く痛み出した。