Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.865 Zeichen · 432 Bildschirme
桐畑の幸右衛門はこのごろ隠居同様になって、伜の常吉が専ら御用を勤めている。彼はまだ二十五六の若い男で、こんな稼業には似合わないおとなしやかな色白の、人形のような顔かたちが人の眼について、人形常という綽名をとっているのであった。
人に可愛がられない商売でも、男は男、しかも人形の常吉に声をかけられて文字春は思わず顔をうすく染めた。かれは袖口で口を掩いながら初心らしく挨拶した。
「親分さん。お寒うございます」
「ひどく冷えるね。冷えるのも仕方がねえが、また困ったことが出来たぜ」
「そうですってね。もう御検視は済みましたか」
「旦那方は今引き揚げるところだ。就いては師匠、おめえにちっと訊きてえことがあるんだが、後に来るよ」
「はあ、どうぞ、お待ち申しております」
常吉はそのまま津の国屋の方へ行ってしまった。文字春はあわてて内へはいって、別の着物を出して着換えた。帯も締めかえた。そうして、長火鉢へたくさんの炭をついだ。かれは津の国屋の一件について、なにかの係り合いになるのを恐れながら、一方には常吉の来るのを迷惑には思っていなかった。
七
「師匠。内かえ」
常吉が文字春の家の格子をくぐったのは、それから一ほどの後であった。